村田沙耶香の本はとてもクレイジー?

文学・書評

村田・クレイジー・沙耶香 

こんにちはみなさん。今日は純文学と呼ばれるジャンルで新進気鋭の作家、

村田沙耶香さんについて紹介したいと思います。僕がとても好きな作家です。

どれくらい好きかと言うと、僕の好きな現役の日本の作家ベスト3に入ります。

具体的に誰?と言われると、村上春樹、村田沙耶香、今村夏子です。

個人的には彼らの本はクオリティに安定感があって、

新刊を買って読んでも裏切られることがないです。

村田沙耶香は作家仲間の間でクレイジー沙耶香と呼ばれているそうですが、

実際彼女の本を読んだことのある人なら、うなずくことでしょう。

そう、彼女の本はぶっ飛んでいるからです。読み手の価値観を揺さぶってくるという点

において現代日本純文学の世界で彼女の右に出る人はいないのではと僕は思っています。

『コンビニ人間』で芥川賞受賞 ブレイクへ

村田さんは著書『コンビニ人間』で2016年に第155回芥川賞を受賞しました。

芥川賞というと純文学系の新人小説家に贈られる最も名誉のある文学賞です。

芥川賞は毎年2回選出されていて、知名度があって、誰が受賞したのかなど

メディアでもよく取り上げられますよね。

新人純文学小説家の登竜門となっています。村田さんもこの芥川賞を受賞したことで

大きく知名度を伸ばしたと思います。事実『コンビニ人間』はベストセラーになりましたし、

書店だけでなく、どこのコンビニの本棚にも置かれていましたよね。

コンビニ人間はコンビニ依存の人の話ではない

よくタイトルで勘違いされるのですが、『コンビニ人間』は食生活をコンビニに依存した人の話

ではないです。コンビニで働くことが生きがいになり、社会の歯車として充足感を得ている女性の

話なのです。ではなぜコンビニ人間は評価も高く、ベストセラーになったのでしょうか?

それはタイトルのコンビニ人間がキャッチーだったこともさることながら、

この小説で問われているテーマ、「普通であること」とは?というものが、とても普遍的な

テーマで多くの人に刺さったからだと思います。

主人公の女性は普通の人ではないのです。そんな彼女は悩みながらも、普通になりたいと

思って悪戦苦闘します。途中で白鳥さんというこれもまた普通でない男性が登場し、主人公と

の関わり合っていくなかで、物語は加速度的におもしろくなっていきます。

群像新人賞優秀作(佳作)デビュー

そんな村田さんのキャリアは順風満帆だったというわけではありません。

純文学の作家は一般的に文學界、新潮、群像、すばる、文藝といった五大文芸誌の新人賞に

応募し、1位に当選し、賞を受賞しなければデビューできません。その競争は応募作が2000作とか

あるなかでの1作なのです。いかに競争が激しいかわかります。

村田さんはデビュー作『授乳』が第46回群像新人文学賞の優秀作に選ばれます。

これは2位の佳作当選だったということです。

どうも選考委員からもあまり期待はされていなかったようです。

当時の選考委員の高橋源一郎氏は著書『一億三千万人のための小説教室』のなかで

『授乳』に関して、及第点の小説という評価を下しています。

ですがこれはデビュー作なのです、20歳そこそこの新人の書いた。

村田さんはそのあまり期待をしていなかったという選考委員たちを大きく裏切って、

成長し、飛躍することになるわけです。

純文学新人賞三冠王

三冠王とは?

純文学の新人賞には最も有名な賞が3つあります。芥川賞、三島賞、野間文芸新人賞の3つです。

この3つを受賞した作家のことを野球に例えて3冠王と言ったりします。

3冠王になった新人作家はこれまで5人しかいません。

笙野頼子、鹿島田真希、本谷有希子、村田沙耶香、今村夏子の五人です。

凄いですよね。しかも全員女性だったりします。

『ギンイロノウタ』、『しろいろの街の、その骨の体温の』

村田さんは『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞を、

『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞を受賞しています。

そして『コンビニ人間』で芥川賞ですね。

どれも面白い小説なのでチェックしてみてください。

僕が一番好きな村田さんの小説

地球星人

村田さんの小説のなかで僕が一番好きな彼女の小説は『地球星人』です。

理由は最もぶっ飛んでいるからです。

それに村田さんはどちらかというと短編を書くことが多い短編作家だと思いますが、

この『地球星人』は中長編で、村田ワールドにどっぷりと浸かることができます。

僕はこの小説で村田さんがなぜクレイジー沙耶香だと呼ばれるのかその理由がわかりました。

もちろん好きになるかどうか、個人差があるとは思いますが、誰が読んでも驚く小説で

あることには間違いないと思います。

地球星人のあらすじと見どころ

主人公の奈月はお盆の里帰りで親戚の由宇に会うことだけが楽しみでした。

一年に一度しか会えない二人にはお互いにある秘密がありました。

それは奈月がポハピピンポボピア星から特命を受けた魔法少女であり、

由宇はポハピピンポボピア星人そのものだということでした。

幼い二人は何があっても生き延びるという約束を交わし、成長してそれぞれの人生を歩んでいきます。

そしてまた二人は出会い、物語が交錯していきます。

これだけの説明をするといったいどんな物語なのかわからないかと思います。

そもそもポハピピンポボピア星??ってなに!?って思われるかもしれません。

でもそれはそういうものだと思ってとりあえず読んでみてください笑 はまれば癖になる面白さです。

村田さんの、人間になりきれない主人公から飛び出してくる発想がとんでもなく面白いんです。

そんなこと考えたことないっていう発想がポンポンと飛び出してくる。

読んでいて笑えるし、刺激を受けました。度肝を抜かれもしました。

宇宙人としての主人公たちの自覚と、それを表現する言い回しが凄いんです。

テーマも何重にも折り重なったような小説ですし、

ぜひご一読されて楽しんでいただければと思います。

丸の内魔法少女ミラクリーナ

4つの短編が入った短編集です。一番最後の『変容』が個人的にとても好きで、お気に入りの本です。

どの短編も価値観を揺さぶってきて、素晴らしい。

それ以外の本も面白いものばかり

一言で言って、外れがないです。

僕があと読んだ彼女の本はというと『マウス』、『殺人出産』、『生命式』、『変半身』などです。

この中だととくに『生命式』が好きですね。

この本もぶっ飛んでいるので読んだ方はまた違った驚きがあると思います。

人肉食が普通な世界をコミカルに描いていて、また「普通であること」ってなんなの!?という

僕たちの考え方、価値観を揺さぶってきます。一度お試しあれ。

村田作品はなぜ面白いのか

村田さんの小説はとにかく面白いんです。これに尽きます。

ではなぜ面白いのか?

まず純文学とエンタメが両立してるんです。このあたりが普通じゃない。

普通、純文学なら純文学、エンタメならエンタメって作風が分かれることが多いんです。

でも彼女は違う。純文学小説でもあり、エンタメ小説でもあるんです。

そして、実際彼女の書くテーマも人が普通であるかどうか、というものだったりします。

彼女の小説はだいたいにおいて、普通であることと、普通でないことについて書かれています。

普通じゃないことってしばしば、面白いことが多いですよね?

なぜなら、普通じゃないからです。(そのままだけど)

それが彼女の書く小説すべてにエンタメ感があると読者が思う理由だったりすのかなと思います。

要するに村田さんの小説は構造的に面白くなるようになっているという僕の仮説です。

だから村田さんはひょっとしたら計算して面白い小説を書いているわけではないのかもしれません。

真面目に書きたいことを、書きたいように書く、その結果面白かった、そんな感じの印象を受けます。

まとめ

村田作品は全部クレイジー。

日本の現代純文学の最先端を走っている作者なので、純文学を普段読まない人も

どんなもんだろうと手に取って読んでみるのは面白いかもしれません。

どの作品も面白いので、どの作品からでも彼女の世界に入ることができます。

この記事を読んでくださった方も、よかったら一度は手に取って読んでみて、考えて

みてほしいです。普通であることとはどういうことなのか?ということをです。

きっと面白い体験になると思います。

さて、今日は村田沙耶香さんを紹介しました。

今度また違う作家さんを紹介したいと思います。

それでは今日はこの辺で、またね!!

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